「ママがサンタにキスをした 〜サンタの正体を知っていますか?〜」


「ママがサンタにキスをした」
第5章、純はこの歌を3度、歌っている。
1回目は、コーラス部の練習に参加して、
2回目は、楽しいクリスマスソングとして、鼻唄まじりに。
そして3回目、次郎の求めに応じ、純は三度、歌うことになる。
人気の無い廊下で、1人で歌う純。
人気の無い部屋で、1人で聴く次郎。
そして2人を隔てる1枚の扉に、2人は気付いたのかもしれない。
この歌の、本当の意味を。

この時期、街はクリスマスムードに染まる。
「サンタクロースを、いつまで信じていた?」
テレビなどでは、昔はタブーとされていたこんな発言ですらも、
最近はよく、耳にするだろう。
だたもちろん、それを快く思わない人もいるわけで、
「子供の夢を壊すな」こんな新聞投書もまた、決まり文句のごとく、掲載される。
では、夢を壊さないためなら、いつまでもウソをつき続ければいいのか。
そうじゃない、ただ、言うならば、
子供は自分で気付くべきなんだね、そのサンタの正体に。

今日こそ、サンタさんを見てやるんだ。
パーティーのごちそうでおなかがいっぱいだから、今夜は眠くてたまらないけど、
サンタさんに会うまでは、頑張って起きてるんだ。
・・・・・・
来た!ついにサンタさんが部屋に入ってきた!
見つからないように、薄目を開けて・・・あれ!?
「I saw Mommy kissing Santa Claus!」
ぼく、見ちゃったんだ。
ねえ、知ってる? サンタさんて、実はね・・・。

最初は、ちょっとがっかりするかもしれない。
「やっぱりね、不思議なことって、無いものだなあ。」
でもね、キミはもう1つの真実には、まだ、気付いていないんだね。
「サンタの正体は、実はパパだった、そんなの当たり前じゃないか。」
「だったら、サンタとママがキスするのも、当たり前じゃないか。」

そんな当たり前が、どうして、私には無かったんだろう。

うちにはね、サンタが2人来るの。
1人の正体は、パパでね、プレゼントを置いて、出て行くの。
もう1人の正体は、ママでね、プレゼントを置いて、出て行くの。
でも、その夜、2人は別々の人とキスしているんだ。
ねえ、私、プレゼントなんかいらないよ。
だから、ねえ、お願いだから、今夜くらいは一緒にいてよ。

サンタクロースは、夢のお話。
その正体は、実は、パパだったんだ。
「ママがサンタにキスをした」
とびきりの夜に、そんな、あたりまえのこと。
そんな、あたりまえが、いつか、訪れるといいのに。
純にも、次郎にも、そして・・・。


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