リップスティック完結記念(1)
「最終話終了」
 
真白が心から望んでいたこと、母親に、真実に気付いてもらうこと。
その果たされなかった思いは、友達の心に、同じ思いとして伝わった。
恵理子が鉛筆を握り締める、藍が義父に飛びかかる、
そして、有明もまた、感情のままに叫んだ。

千尋は苦しいウソをついて、有明を切り捨てた。
彼女の目は、やはり見えていない、検査をごまかせるはずもない。
有明の兄が、彼女に真実を打ち明けたのが本当だとしても、
婚約を解消したといういきさつは、どこか無理がある。
有明もまた、そのウソには、気付いていただろう、それでも、気付かないフリをする。
そして、彼が気付いていることもまた、彼女は知っている。
それがどんなにつらくても、演技を続けなくてはならないときがある。
お互いの重さが、空へ向かうことへの足かせになってしまうから。

藍は、有明に全てを吐き出し、そして1度死んだ。
有明もまた、藍に全てを吐き出し、そして1度死んだ。
生まれ変わった2人は、必然的に巡り合う。
過去も、現在も、未来も、痛みも、喜びも、光も闇も、
全てを共有した2人は、手をつないで、バスに乗り込んだ。

最後に、こんな素晴らしい作品を作られた、全てのスタッフ、出演者に感謝します。

<ああ、こちらも最終回、今週のポッポ>
彼女が手を洗う理由は、ついに明確には描かれませんでした。
彼女にとっては、自分の手こそが、トラウマだったのでしょう。
犬の糞を触らせられた手、父親の背広からお金を抜き取った手、
そして、教師の手をコンパスで貫いてしまったのも、彼女自身の手でした。
彼女の手の「汚れ」こそが、彼女の過去の象徴だったのかもしれません。
まるで、消えて無くなってしまえとばかり、何度も、何度も。
そんな彼女の手を、やさしく拭いてくれた、真白の手。
いつもそばにいて、いつも頭を撫でてくれた、友達の手。
最後は、孝生に手を振って、さよならが言えたね。
自分の手で、さよならが言えたんだね。

ポッポは次に、どんな役で姿をみせてくれるのでしょう、
今後の活躍を、期待せずにはいられません。

リップスティック完結記念(2)
「もう1つのサウンドトラック」

リップスティックには、サウンドトラックも発売されていますが、
もう1つ、REBECCAのREMIXアルバムも発売されましたね。
で、これが素晴らしい、REBECCAはいいぞ!
REBECCAが活動していた頃、僕は小〜中学生くらいでした、これがくやしい。
そのころはまだ、本当の良さが分からなかったんですね、無理もないですが。
今だったら、絶対ライヴとか行ってるのに。

このアルバム、リップの世界がそのまま凝縮されているような気がします。
同部屋の5人に、それぞれテーマソングを拾ってみました。
なお、選曲は独断でやっていますので、この限りではありません、あたりまえですが。
ぜひ、自分の選曲、やってみるとおもしろいですよ。

藍には、もちろん「フレンズ」ですね。
愛する2人が目指すものが、プラトニックであるならば、
そのプラトニックを極めていくと、最終的には「フレンズ」に行き着く。
男であるとか、女であるとか、そんなこと一切関係なく、
ただ相手と「フレンズ」としてのみ、つながることが出来るなら。
「永遠」という名のバスは、こんな届きそうで届かないところを走っているのだろうか。
「二度と戻れない、ohフレンズ」
歌は逆に、愛に変わることで、フレンズを失ってしまったという内容。
きっと、誰もが求める「フレンズ」という理想、
子供の頃に戻りたいね、好きだからいっしょにいる、それだけでよかったのに。
部屋のみんなとも、そしてシュウとだって例外じゃなく、
藍はフレンズでいられたんだね、
そして最後に、もう1つ、とても大事なフレンズを手に入れることができた。

恵理子には「76th STAR」を選びます。
保護観察が決まって、藍にそのことを報告したとき、
彼女には、これから藍にどんな審判が下るのかも分かっていたはず。
それでも、そんなこと微塵も感じさせず、喜びいっぱいで伝えた彼女、
そのウソの苦しさ、その勇気、やさしさ、藍にはちゃんと伝わったはずだよ。
どうか彼女が、とびきりの一番星になれますように!

真白には、「Virginity」です。
この曲が、彼女のイメージに合うのではなくて、
逆に、この曲から、真白という女の子は生み出されたんでしょうね。
Virginityは、とても抽象的で難解な曲です、
聞く人によって、全く受けとり方も違うでしょう。
それを野島伸司が、あるいは池脇千鶴が、一つの形として見せてくれた。
それもまた、解釈の一つに過ぎないのでしょうが。

安奈は、「Cotton time」で、どうでしょうか。
安奈は紘毅を愛していた、紘毅もまた、同様に安奈を。
彼に操られていることを、彼女は気付いていたのかもしれない、
それでもなお、彼の暗闇を必死に救い出そうと、気付かないふりをして。
そしてまた、そんな安奈を救い出そうとした、孝生の存在があった。
愛しながらも、結局、紘毅を受け入れられなかった自分の無力さ、
そんな自分を、命懸けで救おうとしてくれた、孝生への感謝。
彼女が望んだものは、何の飾りもない、
ただ恋人との「Cotton time」だったのだろう。

ポッポには、「Smile」を。
「私はまだ、お家に帰っちゃいけないの」
誰に教えられるでなく、自分でそのことに気付いたこと。
もう大丈夫だね、これからも辛いことはあるかもしれないけど、
5人も、君のことを忘れない友達がついてるんだから、がんばれポッポ!

そして、みんなに「Maybe Tomorrow」を。

リップスティック完結記念(3)
「創造者・野島伸司へ」

第6話で、小泉が有明にこんなことを言っている。
「才能には2種類ある。使っても使っても、あとから補充される天性の才能と、
環境やナルシズムによってつちかわれている才能」
これは野島伸司の、自分自身への問いかけであったかもしれない。
創造を生業とする者にとって、自分がこのどちらに属するのか、
明確に答えが無いだけに、その問いかけは恐怖以外のなにものでもない。
今日出来たこと、明日はそれ以上のことが出来るのか。
もし明日、急にペンが走らなくなってしまったら。
まして彼の場合は、視聴率という暴力的な数値と戦っているのだから。
いい作家は筆が遅いなどと言われるが、それは、その戦いの大きさでもある。

この戦いは、彼がペンを置くその日まで続けられる。
もし、ペンを置く日が来たなら、その時点で、脚本家・野島伸司は過去のものとなる。
戦いつづけることこそが、彼自身のアイデンティティーだとするならば、
その力の源は、ただ彼自身の「創作意欲」であると言える。
彼はリップスティックに完全に満足したであろうか。
伝えたいことを、全部出し切れただろうか。
その不満が、次なる作品への活力になるのなら、
創造者とは、多少不器用な人が向いているのかもしれない。

リップスティック完結記念(4)
「リップ語録」

ここでは、みんなの発言をピックアップしてみます。

野島伸司は、その奥深いドラマ性や、過激な描写などで注目されがちですが、
本当の魅力は、キャラクターの個性がしっかり確立できる、
そのブレのないセリフや行動にあると思うんです。
この裏付けがあるからこそ、視聴者を引き込んでいくことができるんでしょうね。


早川藍・語録
「見たかったから、カバの顔」
(第9話・恵理子の脱走についてきた理由を問われて)

思えば、恵理子の彼氏を、カバだと言い始めたのは恵理子自身だ。
それがいつのまにか定着して、いまやポッポまでカバ呼ばわりする始末。
この発言は、恵理子語録に続く。

「YES!」
(第7話・お互いが想いあってることを何と言うか、藍の問いに、みんなが「両想い」と答えて)

朝っぱらから、藍の言ってることはよく分からない。
そんな簡単な答えでいいのかな?よくわからないけど、とりあえずみんなで答えてみる。
「両想い」「YES!」
口に出してみたら、少しわかったような気がするけど、でもやっぱりわからない。

「あたしは真白と友達になりたい」
(第7話・堕胎手術に向かう真白に、付きそっていた藍が)

「もう友達でしょ」
「違う、友達には、ウソはつかないんだ」
それから先は、2人は何も話していない、それでも、伝わることがある。
部屋に戻った藍もまた、3人には何も話していない、それでも。
1人で戦っちゃダメなんだ、友達には、弱さを見せたっていいんだ。
「ごめんね、みんな・・・」真白の謝罪が、5人の涙に溶け込んでいく。


井川真白・語録
「わかった、わかった、4人ともわたしの娘にしてあげる」
(第9話・みんなから、真白が自分のお母さんならよかったと言われて)

真白はこう言ってるが、恵理子に言わせれば、安奈のようなエンコー娘はお断りだそうだ。
ちなみに、ポッポにも「お断り」だってさ。

「お手やわらかに」
(第3話・ホールでの腕相撲大会で、決勝で対戦することになった藍に真白が)

意外にも、藍は腕相撲が強い、ついには恵理子をも破ってしまう。
しかし、その一方で、もっと意外な人物が、次々と猛者どもをなぎ倒していた。
ついに、決勝で向かい合う藍と真白、その対戦は、有明に水を差されてしまったので、
「真白ちゃん最強伝説」は話半ばにして、ついに完結を見ることはなかった。
「わたしが出てれば、勝ってるわよ」とは言ってないが、安奈は怪我で欠場。
実は「安奈ちゃん最強伝説」まで、あるとかないとか。

「ああいう強引なのって、ちょっと憧れるよね」
(第10話・食堂に乱入してきた紘毅のことを思い出して)

「さんざん、彼の悪口いってたくせに」安奈は言うが、まんざらでもなさそうだ。
「言ったさ、そりゃ彼女にエンコーさせて、なんて男のクズだからな」
「うん、でも、それとこれとは、また別なんだよ」
恍惚の表情を浮かべる恵理子と真白に、安奈もどこかうれしそうに。

「もう十分でしょう。恵理子にチョッカイ出さないで」
(第2話・食堂で恵理子に詰め寄ってきた彼女の昔の仲間に向かって)

真白は、ケンカが強いわけではない、争い事だって嫌いなタイプだ。
それでも、恵理子が詰め寄られたとき、安奈に紘毅が迫ってきたとき、
いつも先頭に立って、仲間を守ろうとしたのは真白だった。
やさしさ、強さ、あたたかさ、彼女は、本当にみんなの母親のようであった。
人は長い間、同じ人と生活していると、お互いに足りないものを補い始めるという、
彼女の母性は、母親らしくなかったその母を補うように、つちかわれたものなのだろうか。


三池安奈・語録
「あたしも、いつまでも綺麗でいる」
(第8話・人は変わっていくのかの問いに「私は変わらない」と答えた藍に続いて)

「なんだよ、図々しいなあ、あたし綺麗なんですって言ってるようなもんじゃないか」
恵理子が露骨に嫌な顔をするが、安奈は涼しげに
「だって、みんな、そういうもん」と言ってのける。
これには一同、笑って答えるしかない。

「じゃあ、みんな、いっせいに」
(第4話・ポッポから突然、キャラメルを受け取り、困惑する4人に)

「毒、入ってねえよな」「恵理子!」同じ味を噛み締める5人は、
みんな同じ顔をしていた、ポッポもどこか満足そうに。

「おい、どんな字だよ」「何が?」
(第2話・藍の名前は、藍色の藍だということがわかって)

「おまえも知らないな」「知ってるわよ!」
「こういう字よ」と、紙に「藍」と書き込む真白、
それをのぞきこむ恵理子、安奈、ポッポ(←!)。
「やっぱり知らねえんじゃねえか」「知ってるわよ!」

「恥ずかしいけど、そういうこと」
(第9話・恵理子の脱走についてきた理由を「友達だから」と言った藍、真白に続いて)

思えば、彼女は「友達」という言葉を、一度も口にしていない。
言葉にする必要は、ないのかもしれない。
「恥ずかしいけど」に込められた彼女の思いは、言葉よりも確かに、みんなに伝わったから。


鈴丘小鳩・語録
「リンゴ」
(第5話・藍が発作を起こした理由を3人で(!)話していたときに)

「しゃべった!」恵理子が、まるで赤ん坊が始めて立ったかのように驚く。
ところで、ポッポはなんで、リンゴが原因だって分かったんだろう。

「グゥ」
(第9話・脱走中の夜、空腹に耐えかねて)

安奈、ポッポ、真白、3人並んで座っていたはずなのに、
なぜか、お腹が鳴ったのはポッポだと、すぐにバレてしまう。
彼女は、食事にこだわりがあるらしい。そういえば、脱走の途中でも、
うどん屋や、パン屋の前で立ち止まっては、真白に連れてかれている。
まあ、育ち盛りということで、よしとしようか。

「このごろはやりの女の子、お尻の小さな女の子」
(第9話・彼氏にフラれて落ち込む恵理子に、黄色いカーテンを手にしたポッポが)

ポッポにしてみれば、いや、彼女だけでなく、5人みんなが、
いまだに黄色いカーテンを使っているカバが許せなかった。
その強奪(!)の事情は描かれなっかたが、ポッポはそれを取り返してきた。
想像するに、彼は意外に素直に返してくれたんじゃないかな。
カーテンを使い続けることが、恵理子に対する、彼なりの謝罪だったのかもしれない。
その気持ちは、きっとハニーにも届いたね。
「ポッポ・・・」涙の止まらない恵理子に「キューティーハニー」の大合唱が始まった。


そして問題発言の宝庫 松田恵理子・語録
「おい、鳩ポッポ、何とか言えよ」
(第1話・黙々と手を洗う小鳩にイラ立つように)

きっと、彼女を最初にポッポと呼び始めたのは、恵理子だ。
「おい、鳩ポッポ」これがいつのまにか、部屋に定着してしまったのか。
ともかく、恵理子とポッポの迷コンビは、この頃、すでに始まっていたわけだ。

「うるせえな、また寝小便たれやがったんか?」
(第1話・安奈の流血に悲鳴をあげたポッポに向かって)

緊迫したシーンだったんで、最初は気にもとめなかったんだけど、
よく考えてみれば、かなりとんでもないことを言ってる。
「また」って、どういうこと!?
真白が「大丈夫、濡れてない」だって。

「えっ?ああ、なんだよ、そういうことか」
(第5話・想像デートで奇行をくりかえす藍に、今日、誕生日だからと説明されて)

「あなた、それでわかったの?」安奈が聞き返すのも無理はない。
この日の藍は、そんなことでは説明がつきそうにない。
「よし、わかった、こういうときは歌だ! ハッピバースデー・トゥー・ユー」
やっぱり、よくわかってないらしい。

「自分のダーリンだから、いいんです!」
(第9話・恵理子の彼氏をカバと呼んだのは自分だと、藍に指摘されて)

一同「ダーリン」の響きに笑い転げる。
「だったら恵理子はハニーだ」真白までからかい始める始末。
「ハ、ハニーですよーだ」開き直ってはみるが、笑いがおさまる様子はない。

「あー、ポッポじゃだめか」
(第8話、ホールで卓球をしている恵理子とポッポだが、実力が違いすぎて)

「真白・・・安奈・・・藍・・・、あーもう」この日の3人は、どこか呆けていて、
相手してくれそうもない、で、結局、
「あーもう、ポッポ、やろ!」となる。それに応じるポッポも。

「ドジョウすくいでも踊んのか?こうやって」
(第11話・出所したらみんなでクラブに行きたいと言い出した真白に向かって)

クラブに行こうと言い出したのは安奈だが、それを一番意外な人が
真っ先に賛成したものだから、恵理子でなくてもからかってみたくなる。
「失礼ねえ、あんたたち」とは真白の弁。

「藍!あたし信じらんないよ、家に帰れることになったんだよ!」
(最終話・保護観察の決まった恵理子が、これから審判を待つ藍に向かって)

この1ヶ月で、恵理子もまた、おおきく成長した。
これから藍にどんな審判が下るのか、藍も恵理子も分かっている。
分かった上で、こうすることが、自分の役目なんだ。
「なっ藍、おまえだってきっと大丈夫だから!」相変わらず、恵理子は不器用だ。
「がんばれよ!根性だせ、根性!根性!! がんばれよ!」
根性で審判が乗り切れるわけないのにね、藍も目を細める。
その、むきだしのやさしさに、藍がどれほど勇気付けられたことか。

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