「近づける条件」を語ろう。 投稿日:07月24日(土)07時33分53秒
さあ、最終日に向けて、ラストスパートです。
これから数日、その他大勢の皆さんを(失礼)まとめてみたいと思います。
というか、ほとんどネタ切れ寸前、誰かネタをくれ。
「○○について書いて」って、ただそれだけでいいからさ。
マラソンは35kmを過ぎてからって、本当だ、これ・・・。
吉岡篤という人がいた。
あれだけのキーパーソンでありながら、その存在はいまいち薄い(^^;)。
「ご両親は勉強よりも、彼女の話し相手的な要素を、僕に求めたのかもしれません」
彼は自身を、こう分析している。
藍は苦しんでいた。彼女は両親にも、何も話さなかった。
「シュウを殺したのは自分だ」
彼女はまだ、そのことを両親に打ち明ける勇気がなかった。
「そんなことない、藍のせいじゃないよ」
そう言ってもらえる期待も信頼も、彼女と両親の間には、希薄だったのかもしれない。
苦しみは話すべきだ、きっと彼女の両親も、それは知っていただろう。
だが、どうすれば、彼女は自分たちに心を開いてくれるのだろう、その術がわからない。
これに関して、以前話した「透明の国のアリス」には、こう書かれている。
どうやったらあの娘の近くに行けるか―――。
本当はいっぱいあった。だが、それは手段ではなく、限りなく条件に近かった。
「どうやったら」あの娘の近くに行けるかではなく、
「どういう人間が」あの娘の近くに行けるかという問題なのだった。
自分たちには、どうすることもできない。諦めてしまうところが、一番の問題なのだが、
ともあれ、両親はその願いを、篤に託した。
人に話すこと、それは藍にとって、初めての快感だった。
「だんだん彼女は、ぼくになついてきましたよ。本当にみるみる明るくなって、
いつも大声で笑って。そういう彼女は、とてもまぶしかった。」
「藍は、僕には、何でも話しましたから、それこそ聞きたくないようなことでも、何でも」
「ある時から、僕は怖くなったんです」
「彼女が、僕の何もかもを欲しがるようになったから。
それこそ、過去も、現在も、そして、未来も根こそぎ。」
そして彼は、藍から逃げ出してしまった。
自分が愛するものは、必ず失われる、その肯定のみを、彼女に残して。
「異常なのは与え方のほうです。彼女は、なにもかも与えたいと思う。
だけど、誰も彼女を受け入れられない、まるで24時間照りつける太陽のようだ。」
「相手が暗闇を持つ者ならば、彼女と向かい合える。
そこに浮かぶ太陽は、夕日のように、おだやかでやさしい」
篤と有明との違い、「どういう人間が」彼女の近くに行けるかという条件。
覚悟はできていた、だが、そう簡単に割り切れるわけがない。
「結婚するんです」その想いを振り払うように、彼は言った。
篤は、藍を愛していた、逃げ出してしまったけれど。
そして藍も、篤を愛していた、受け入れてはもらえなかったけれど。
だが、少なくとも、彼は、受け入れたいとは思ったはずだ、
受け入れようと、必死に努力したはずだ、
それが、彼と、彼女の両親との決定的な違い。
だからこそ、2人は、たとえ瞬間でも、本気で愛し合うことができた。
「おれも同じようなものだよ」
彼をねぎらう様に、有明がつぶやいた。
ちなみに、
「どういう人間が」あの娘の近くに行けるか。
ポッポの担当に葛西を指名したのは、有明だった。
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「調査官」を語ろう。 投稿日:07月25日(日)09時28分24秒
藍スペシャルはどうしたの?って言われそうだけど、
全ての書き込みが、それを兼ねているつもりですので、どうぞよろしく。
今回は、南雲亜希子調査官のショートストーリーです。
調査官という職業は何でしょう。
調査官は、家庭裁判所に属し、裁判官の命令を受けて、
各種事件の、処遇決定のための調査をするのが仕事です。
ちなみに少年法には
「調査は、なるべく、少年、保護者または関係人の、行状、経歴、素質、環境等について、
医学、心理学、教育学、社会科学その他の専門知識、
特に、少年鑑別所の鑑別の結果を活用して、これを行なうよう努めなければならない」
と、なんだかよくわからない(!)ことが、書かれています。
ちなみに、調査官は同時にいくつもの事件を抱え、
実際、少年本人と直接、面接できる時間は、合わせて2、3時間が限度らしいです。
そんな中で彼らは、少年本人、保護者、必要があれば、その他の関連機関にも接触し、
それらの情報から「少年調査記録」という書類をまとめ、家裁へ提出します。
調査官の仕事について、詳しいことは、他の文献に譲ります。僕は素人ですので。
興味のある方は、是非、読んでみてください。
自分は、子どもたちのために、何が出来るんだろう。
「少年調査記録」だって?たったこれっぽっちの面接と調査で、何を書けというの?
しかもそんなものが、裁判の行方を左右するというのだから、たいした仕事もあったものだ。
調査することさえ、人任せにする裁判官と、ろくに調査する時間も与えられない調査官、
こんなやつらに、将来を決定される子どもたちは、それに逆らう術もないというのに。
ある者は、その矛盾に悩み苦しみ、その仕事を離れた。
ある者は、あらゆる感情を押し殺し、無機質な調査ロボットになり果てた。
だが、自分は、彼らを非難する資格など無い。
「あたしも、似たようなものね」
慣れていく自分の仕事に、亜希子は力無くつぶやいた。
彼女は、有明や、特に葛西に、次第にうちとけていく。
子どもたちのために、傷を負える、涙を流せる、
そんな彼の情熱を、少しうらやましく思ったのだろうか。
「思えば、私もそんな仕事をしていた時期が、あったのかな」
目を閉じると、たくさんの顔が浮かんでくる。
保護観察が決まったと、手を握って報告してくれた、少年の涙が、
未だに、手紙で近況を伝えてくれる、少女の笑顔が、
だが、不思議なことに、それは最近になればなるほど、ぼやけて見えなくなってくる。
「ごめんね、思い出せもしないなんて」
だが、迷っている暇など無い、今日もまた、調査の日々が始まる。
最終話、亜希子は鑑別所内の会議に参加している。
議題は「ある少女の葬儀に、収監中の少女たちを参列させることができるか」
調査官としては、越権行為であったかもしれない。
だが、そうせずにはいられない何かが、彼女をつき動かした。
そして彼女らは、子どもたちの願いを、1つだけ勝ち取ることに成功した。
それは、彼女だけではなく、その場にいた、全ての人の情熱、
たとえそれが、遠く昔に封印されていたとしても、
その会議の結論は、それを揺さぶることに成功した。
忘れかけていた情熱が、彼女の中で今、ゆっくりと融解を始めた。
最後に、また「透明の国のアリス」から引用します。
それがこんなにも変わり果ててしまったのか。
生きるために罪悪感を抱きつつも妥協を選んだのだ。
その意味では彼らの多くを哀れとは思うが、それでも同情はできない。
何の改善もせずにただ組織にとどまることは、
進んで子供をいじめるのに協力しているのと同じだ。
参考文献はいつもの通り
「非行−対処と予防のために−」上田彩子・守安匡 共著 サイエンス社
「透明の国のアリス」西街守 著 情報センター出版局
この文章は、上記文献などを参考に、pix_pomが勝手に書き下ろしたものです。
内容には私観が含まれており、また、間違いのある可能性もあります。
かなり勝手なことを書きましたが、全国には、情熱と誇りをもって働いている、
優秀な裁判官や調査官がたくさんおられると思います。
その方々を侮辱するつもりは、全くありません、この場を借りて、お詫び申し上げます。
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「前髪」を語ろう。 投稿日:07月26日(月)08時39分39秒
藍には、前髪を吹き上げるクセがある。
時には、ため息のように、時には、幸せをかみしめるように。
ところで、こんな話は聞いたことないだろうか。
「人はなにか、やましいところがある時、潜在的に目を隠したがる」
「私が殺した」その罪の意識に、彼女は目を隠すように、前髪を伸ばしたのだろうか。
彼女は、自分の前髪が、嫌いだったのかもしれない。
できることなら、吹き飛ばしてしまいたかったのかもしれない。
そして、もう1人、前髪を伸ばした人物がいた。
「僕は昔、札付きのワルだった」
いきなり、ウソで塗り固めてしまった、彼の経歴。
そして彼もまた、目を隠した。
ところで、「私が殺した」もう1人、有明は、前髪を伸ばしていない。
「潜在的に、この閉塞された職場を選んだ」
紘毅にそう指摘されたとき、彼の動揺は、それが図星であると証明した。
彼にも、目を隠したくなる理由はあったはずだ、それならば、なぜ。
こう、想像してみたい。
彼は、自分の罪の意識以上に、その職務に真剣であったと。
鑑別所には、「前髪を伸ばした」少年たちが、たくさん入ってくる。
自分が目を隠していて、誰が、彼らの目を見つめてやれるのか。
自分の罪なんて、少年たちには、関係ないことだ。
そして彼は、前髪を上げた、その判断ですら、また、無意識のうちに。
「それでも、僕は、先輩はとてもいい教官だったと思います」
有明がその仕事を離れるとき、孝生は、そう口にした。
それは孝生だけでなく、彼を見送る全ての人間が、同じ思いだったに違いない。
そして1年が過ぎ、孝生もまた、前髪を上げていた。
彼は、ブラインドの無いその目で、演説をしていた。
マイク越しに、確かに少年たちの目を見つめていた。
そして、これも想像だが、
2人の再会後、藍もまた、前髪を上げたのではないかと。
2度と彼女は、前髪を吹き上げることはなかったと。
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「約束の手紙」を語ろう。 投稿日:07月27日(火)09時15分28秒
語りPart3、今回はポッポが主役です、とは言ったものの、これがキツかった。
ポッポにしゃべらせるのが、これほど大変だとは思わなかった(^^;;)
ちなみにこの話は、最終日(31日)のエピローグに続きます。
本文中、『 』で囲んだ部分は、僕が勝手に(!)ポッポのテーマソングに決めた
REBECCAの「(It's just a)Smile」から引用しています。
この曲をお持ちの方、ぜひ、BGMにして、お楽しみください。
『笑顔が苦手なLady Blueは、いつも1人ぼっちの泣き虫ね
素直になれる勇気がないから、心にカギをかけてしまったのね』
藍、恵理子、安奈、先生、パパ、ママ、そして真白も、みんな元気ですか?
私は今、「児童自立支援施設」という所にいます。
早いもので、あれから半年もたってしまいました。
今でも時々、鑑別所の事を思い出します。
「おい、鳩ポッポ、なんとか言えよ」
なんか、懐かしいですね、そう言われたのも、ずいぶん昔のような気がします。
ここに来て、私はずいぶん、自分のことを考える時間が増えました。
私だって、話したくないわけじゃ、なかったんです。
でも、話すことが怖かったんです、私が話すと、何かが起こるから。
きっとみんなは、何かが起こるのを期待して、話をするんでしょうね。
でも、私は逆だったんです、だから、必死に黙っていたんです。
何も起きないように、どうか私は、いなかったことにしてくださいって。
でも、それは無理でした。
先生も、みんなも、私にすごくやさしかったから。
本当にありがとう。私のことなんて、ほっといてくれればよかったのに。
私は、ずっと友達が欲しかったんです。
誰か声をかけてくれないかな、ずっと、そう思っていました。
でも、声をかけてきたのは、私からお金を巻き上げたり、そんな連中ばっかりで。
自分から声をかけなくちゃダメなんだ、そう教えてくれたのも、みんなでした。
だから、私は、怖かったけど、すごく怖かったけど、
みんなに、キャラメルをあげたんです。
そして、みんなは、一緒に食べてくれたんですよね。
知ってます?鑑別所では、お菓子を、あげたりもらったりしちゃいけないんですよ。
へへっ、これでみんな共犯だね。
その夜、私はうれしくて、しばらくねむれなかったんですよ。
『鏡がきらいなLady Blueは、いつも片思いばかりしてたわ
一番好きな彼の前でも、うつむくままで、何も言えなかったの』
この施設にきて、最初に私は、教室のみんなの前で、自己紹介をさせられました。
怖かったけど、恥ずかしかったけど、私は思いきって言いました。
「鈴丘小鳩です、よろしくお願いします。みんな私のことを「ポッポ」と呼んで下さい。」
みんな最初は、驚いたような顔をしたけど、それから、拍手で迎えてくれたんです。
私、おもわず泣き出しちゃいました。
ここにはね、小学校低学年くらいの子も、いっぱいいるんです。
私なんか、ほとんど最年長ですよ、すっかり「お姉さん」状態です。
あっ、いま誰か笑ったでしょ、もう!
真白みたいに、上手にはできないけど、私も、みんなにできるだけやさしくしています。
早く学校に行って、友達をつくらなくちゃね、お姉さんみたいになっちゃだめだよ。
私は今、高校受験に向けて、頑張って勉強しています。
学校に行ってなかったから、教科書なんて、全然わかんないけど、
それでも、高校には行きたいんです、登校拒否してたくせにね。
だって、学校に負けたまんまじゃ、くやしいじゃないですか。
高校は絶対、3年間通ってやるんだって、そう決めたんです。
藍は、今どうしていますか?
たぶん、少年院にいるんだと思うけど、辛くないですか?怖くないですか?
「代わりに怒ってあげる」って、すごく勇気のいることですよね。
私は、藍に憧れていたんですよ。
ハンドボールで、恵理子の仲間を倒したときも、
真白の葬儀で、アイツに飛びかかったときも、
私は、いつも、あなたの背中を見つめていたんです。
いつか自分も、あんなふうになれたらなあ、
だからいつも、藍は私の目標なんです。
『笑ってごらん、もう一度だけ、無器用でもいいから
あなたの顔は、きっときれいな、心と同じだから』
約束します。私は絶対、高校に受かって、ここを出ます。
だから、その時は、みんなで集まりませんか?
いつかみたいに、あのひまわり畑に。
私もがんばるから、だからいい?絶対、約束だからね!
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「画廊のおやじ」を語ろう。 投稿日:07月30日(金)08時24分33秒
いきなりですが、臨時増刊号ができてしまいました。
第4話で、小泉は有明に、こんなことを言っている。
「才能には2種類ある、使っても使っても、あとから補充される天性の才能と、
環境やナルシズムによってつちかわれていく才能。」
もしかしたら、小泉は昔、自分も絵を描いていたのかもしれない。
「彼は、真の芸術家になった、しかし、やはりそれと引き換えに、壊れてしまった」
小泉は、想像力の欠如を、「才能の泉が涸れる」と表現した。
だが、本当は違うのかもしれない。
きっとみんな、真の芸術家になることが、怖いからなのだろう。
そして小泉もまた、その恐怖に、筆を置いてしまった一人なのか。
彼は、有明政春の才能に、若き日の自分を映していたのかもしれない。
そして、政春は、多くの芸術家候補たちと同様に、想像力の欠如にもがき苦しむ。
もちろん、彼が苦しむ理由は他にあったのだが、小泉は知る由もない。
その一線を越えれば、真の芸術家になれる、
越えて欲しい、しかし、越えて欲しくない。
結果的に、彼は越えられなかったのだが。
悠の描いた藍の絵を見たとき、小泉は、全てを悟った。
本当は、その弟が、絵を描いていたこと、
そして、有明政春、または、有明悠が、ついに真の芸術家になったこと。
全ての芸術家が、真の芸術家になるべきではない。
彼のその厳しい目は、その者たちへの戒めであるのだろうか。
> 藍の家出の原因、発端なんかはわかる?
居心地が悪かったんじゃないかな、きっと。
彼女の罪を、怒りも咎めもしないその両親の目を、
藍は直視出来なくなっていたのかもしれない。
「怒るなら怒ってよ、責めるなら責めてよ、
でも、許すなら、許してよ・・・」
無関心を装う両親、罪を償えない重圧に、彼女は耐えられなかった。
こんな感じですかね。
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30分前 投稿日:07月30日(金)23時39分32秒
> ゴメンナサイ。最後なのに1つ吹っかけます。
> 想像力を取り戻した有明は画廊で兄の絵(?)を見て「兄は悩んでいた」と分析しています。
> あのときの絵は有明が描いたのではないのでしょうか?
> それとも兄が描いた絵なのでしょうか?
売られた喧嘩は買ってやるわい(^^)
といっても、挨拶を済ませちゃったから、ちょっとだけね。
悠が、政春の、つまり自分の絵を「客観的に」見たのは、初めてなんじゃないかな。
こう考えると、つじつまが合ってこない?
と、いうわけで、ばいばーい!(無責任)
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