「葛西先生の、脱・洗脳講座」を語ろう。 投稿日:07月15日(木)09時44分04秒
昨日は、洗脳する方法を、
今日は、洗脳を外す方法です。
洗脳中は、100%と0%、この2つしか存在していない。
ならば、この状態を覆すことが、洗脳を解くカギといえる。
しかしそれは、言葉で言うほど簡単ではない。
彼の絶対性こそが、彼女のアイデンティティである以上、
それに入りこもうとするものには、自衛が働いてしまう。
それは彼女も例外ではなく、誰の言葉にも、耳を傾けはしない。
唯一信じられるものは、彼の言葉だけ。
誰もが絶望しかけた頃、「解けない洗脳は無い」と信じこむ先生がいた。
自分が絶望してしまっては、誰が彼女を救うのか、
彼女を救いたい、方法は分からない、
だが、必ず解けるはずだ、そして、必ず解かなくてはならない。
彼の選んだ方法は、試行錯誤、そしてついに、ある方法に手応えを感じ取る。
「紘毅と同じ事をする」
画鋲を握るなど、愚かなことだ、紘毅は私を愛しているから、それが出来る。
だが、私の目の前にいるこの人間はどうだ、彼と同じ事をやってのけたじゃないか。
愛が無くても出来ることなのか、それともこの人も、私を愛してくれるのか、
私を愛してくれるのは、紘毅だけじゃないのか、
どんな人に抱かれたって、そこに愛はなかったというのに。
葛西は彼女の心に、疑問の火種を付けることに成功した。
脱・洗脳、それはいつも、自己崩壊によってもたらされる。
周りの声は、そのきっかけを与えることしかできない。だが、それで充分だ。
揺らぎ始めた彼女の心、彼女は、紘毅を誇大化することで、それを守ろうとした。
「ボールペンで、目を潰した」
後に、葛西はこれを「サイン」と表現する。
あくまで紘毅を絶対視しながらも、初めて、彼女は葛西に期待したことになる。
期待も、不安も、絶望も含めた、彼女の心の叫び、
「彼を超えてくれ」「私を救ってくれ」と。
そして、その叫びに対する回答こそが、洗脳を解く答えだった。
紘毅は安奈を愛していた、だから、彼女を洗脳することができた。
安奈は紘毅を愛していた、だから、彼に洗脳されることができた。
葛西は安奈を愛していた、だから、紘毅の洗脳を解くことができた。
そして安奈は、葛西を愛した、だから、彼に期待することができた。
鑑別所を離れるにあたって、安奈が葛西に問うた、もう1つの期待と絶望。
「彼は男として彼女を愛してくれたのか、それとも、教官として」
その回答は、とても曖昧で、それでいて、とても安らげるものだった。
紘毅の抜けた彼女の心に、大声援が響き渡る。
2人を分かつように、タクシーの、鑑別所の、扉が閉じる。
たとえ一瞬でも、人を愛した、そして愛された、
お互いに、その満たされた記憶だけを残して。
P.S.ごめんなさい、安奈スペシャル、もう一日やります
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もっと広がれ、リップワールド 投稿日:07月16日(金)10時48分58秒
> 真白の死は、藍にとっては、「弟の死と同じことが再び繰り返された」
なるほど、確かにこの部分を見落としていました。
自分から遠ざかっていくフレンズを、彼女はまたしても、助けることができなかった。
そう考えると、話の展開が大きく変わってきますね。
葬儀のとき、怒りに震え、鉛筆を握りしめた恵理子を、藍は止めている。
「離せ!どうせあたしはネンショーなんだ」この言葉に、藍は決意する。
恵理子、安奈、ポッポ、そして真白、みんなには、自由になる資格がある。
目の前で、また大事なものが奪われようとしている。
行動するんだ、助けられなかった2人のフレンズのために。
もうこれ以上、失うことはできない、助かるべき、3人のフレンズのために。
「あなた自身が、檻の中にいる錯覚を受けられる」
彼女が少年院をなんとも思っていなかったとは思えない。
だが、彼女をそうさせたのは、彼女の罪の意識。
「みんなは自由になっていいんだよ、その資格の無い自分は、檻に入る」と。
2人が離れること、それはお互いの罪に課せられた刑罰、
自分は終身刑、自由になる資格なんてないんだ。
>「自分が有明のそばにいれば、今度は有明を死なせてしまう。だから、さようなら。」
自分が自由でいると、また罪を重ねてしまうから。
愛している、お互いに、分かっている、感じたい、何もかも、でも許されない、
2人の距離は、拷問に近い。
そんな2人を、もう一度開放したのは、その「被害者」たち。
「もう苦しまなくてもいいよ、充分償ったじゃない、恨んでなんかいないから」
「あなたが私を愛してくれたのはよくわかってる、だから、もういいよ」
「ごめんね、こんな罪を負わせちゃって、でもあなたが苦しむのは、私も辛いんだよ」
真白が、恵理子が、紘毅が、千尋が、
それぞれに、でも、同じ言葉で、2人を解放した。
2人の手錠を外し、心からの声援で、空へ解き放った。
>ネットとはいえ、リップスティックのこと、話せるのは嬉しいです。本当に。
本当にそう思います、こちらこそありがとう。
自分の中で完結し過ぎると、それ以上世界観が広がらなくなるから。
ちょっとずつ違うそれぞれの意見で、さらに大きくリップを味わうことができるね。
P.S.このドラマを「リップ」と呼んでるのは僕だけか?(^^;)
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「安奈と紘毅と二度の自殺」を語ろう。 投稿日:07月16日(金)10時53分14秒
第1話、彼女は手首を切っている。
その日の昼間、紘毅は安奈にサインを送った。
彼のサインには、絶対に従うこと、それが、愛するということ、
その痛みに、たとえ壁を隔てていても、彼を感じることができるから。
傷つくこと、物理的な苦痛は怖い、だが彼女は、
自分に理由をならべて、それを押し殺すように、シャープペンを突き立てた。
「どうして、こんなことを」
救急車内、困惑する葛西の言葉に、安奈が反応した。
「どうして」この時の彼女には、存在していない言葉。
脱洗脳とは自己崩壊だと昨日書いたが、それは、自分に疑問を持つことから始まる。
心の奥底では、彼女は「どうして」を待っていたのかもしれない。
だが、心を揺るがすこの言葉を、洗脳中の彼女は、排除しようとした。
「安奈、お礼がしたい」「いいよ、抱いても」
紘毅以外の言葉は認めない、紘毅以外の愛も認めない、
「どうして」こんな言葉で、心の中に入りこんでくる敵は、抱かせてしまえばいい。
愛も無いくせに、お金を払って自分を抱いた、あの下劣な男たちのように、
この男も成り下がればいい、そして見下してしまえば、もう怯えることはない。
彼女の洗脳は「どうして」に怯えていた、これは危険だと感じていた。
そこに脱洗脳のカギがあることに、この時の葛西は、まだ気付いていない。
そして、彼女の洗脳は完全に解けたかと思われる頃、彼女は再び自殺を図った。
「紘毅はなぜ、そんなひどいことを私に・・・」
洗脳が解けた今、彼女を苦しめたのは、もう一つの「なぜ」
彼は本当に自分を愛していたのか、自分は本当に彼を愛していたのか、
「なぜ」「なぜ・・・」「なぜ!」彼の抜けた心の空洞に、くりかえすリフレイン。
第11話、食堂に乗り込んできた紘毅と、安奈は向かい合う。
そこで彼女は確信した、やはり彼は、自分を愛していると、
そして自分も、洗脳などとは別次元で、彼を愛しているのだと。
彼を否定してはいけない、彼を救いたい。
自分のために、命懸けで戦ってくれた先生のように。
そして、それを成そうとする彼女を、友達が救い出す。
死にたくない、暗黙のうちにこみ上げる彼女の思いを、
友達はみんな、感じとっていたのだろう。
「あたし、死にたくない」初めて、心の叫びが口に出た。
「紘毅をたすけて!」彼女の心が、力の限り叫んだ。
この時、彼女の洗脳は、完全に解けた。
紘毅は、彼女が死なないことを期待し、また確信していた。
「人はね、死のうと思えば、確実に死ねるものなんですよ」
全て分かっていた、彼女が自分に従って、死を選ぶことも、
それが遂げられないだろうことも、彼女が死にたくないことも、
そして、それによって洗脳は解け、彼女が完全に自由になることも。
それが、彼が「最後の審判」と表現した、彼なりの償いの形。
いつか真白は言った「キャッチ・アンド・リリースは人間のエゴだ」と。
だが、エゴであっても、そのまま罪を重ねるよりは、はるかにマシだ、
いつか魚に、その気持ちが伝わるのか、いや、たとえ伝わらなかったとしても。
自分のエゴに、一人の少女を巻き込んでしまったこと、
彼は、一生その罪を背負っていく、葛西に殴られることも受け入れた。
それは終身刑にも似ている、自分は救われてはいけない、だからせめて。
彼は、「もう一人の自分」を救った。たとえそれすら、エゴだとしても。
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「児童自立支援施設」を語ろう。 投稿日:07月17日(土)08時02分59秒
今日はポッポスペシャル、
えっ、たった一日?ごめんね、ポッポ、
彼女については、ずいぶん書いてきたからね。
内容は、かなり番外編的になります。
彼女の送られた「児童自立支援施設」とは、どんな所だろう。
以前は「教護院」と呼ばれていたが、平成10年からこの名称に変更された。
で、ここがかなり変わった施設であるらしい。
「透明の国のアリス」によれば、そこからの脱走も珍しくないとか。
(この本に関しては明日、書きます)
生活は鑑別所同様、かなり規律正しく行なわれる、まあ、これは当然か。
主な目的は、集団生活に適応させ、基本的な生活習慣を身につけさせるというもの。
だが、そこには、臨海学校だの、競技会だの、年中行事まで存在するとか。
むしろ、合宿制の学校と理解した方がいいかもしれない。
少年院との大きな違いは「開放処遇」つまり、鍵が存在しないらしい。
鍵が無いから、逃げ出す子供も当然いる、それを「無断外出」と呼ぶ(!)
逃げた子供は捜しにいこう。その途中でまた、罪を犯したら大変だ。
(多くは自転車泥棒、食料などの万引き、資金の恐喝など、目先の逃走のためらしい)
ところが、その逃げた子供ですらも、開放処遇のため、勝手に拘束することはしない。
説得して、連れて帰って、もとの生活に戻すだけ。
(多少の罰はあるらしい、グランド○周!とか、ごはん抜きとか^^;)
なんだなんだ、ずいぶんいいかげんな施設だなあ。
でも、この開放性こそが、ここの子供たちに必要なんだというのはうなずける。
ここは少年院と違って、在院期間が定められているわけではない。
施設職員や児童相談所、親や本人の意見などを総合し、
在院の必要が無いと認められれば、そこを出ることができる。
多くは、卒業や進学などの節目に行なわれるらしい。
ポッポの場合は中学生だが、施設内で中学卒業も認められるし、
そこから、高校進学を目指したり、就職先を探すことも可能だそうだ。
こんな施設があるものだ、知らなかったなあ。
彼女は元気にやってるかな、きっと大丈夫だよね。
参考文献
「非行−対処と予防のために−」上田彩子・守安匡 共著 サイエンス社
「透明の国のアリス」西街守 著 情報センター出版局
この文章は、上記文献などを参考に、pix_pomが勝手に書き下ろしたものです。
内容には私観が含まれており、また、間違いのある可能性もあります。
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「もう1つのリップスティック」を語ろう。 投稿日:07月18日(日)09時18分35秒
昨日、ちょっとだけ触れた「透明の国のアリス」と言う本。
確かにリップの「協力」欄に載ってますね、今日は、その本のお話です。
(番外編ばっかりですいません)
おそらく、この本がリップの原案になったと思われる。
内容は、一人の少年鑑別所の先生と、そこへ収監されてきた一人の少女「北里ありす」
この2人の、心の交流を2人の目線から描いたもの。
フィクションなのだが、ノンフィクションとも思える、
その不思議なリアリティは、実際、著者がここにでてくる先生だから。
著者・西街守
平成6年4月 とある少年鑑別所に任官。
平成7年3月 自己都合により退官。
なぜ彼が、少年鑑別所を職場に選んだのか、またどうして、それを離れたのか。
それも、本の中に書かれている。
彼の1年は、矛盾との戦いであったように思われる。
他人の気持ちなんて分かるわけない。
分かったようなことを言うな。
わかりたいと思うヤツがいるかもしれない。
向いてない仕事なんか辞めて、どっか田舎のほうでもいくか。
それがいいよ。
やめときなよ。
アンタがいないと、いろいろ困る。
あれ、実は私の彼なんです。
くだらない話で時間を潰すな。
いってきます。
またくるよ。
もう、来なくていいよ。
がんばってな。
お世話になります、よろしくお願いします。
僕は何もできなかった、何もしてやれなかった。
別にいいんじゃない。
何なんだ、アイツは。
知らない。
目をそらさずに読めますか?
涙をこぼさずに読めますか?
人はどこかで、必ず救われるべきなんだ、救いたいと思うべきなんだ、
たとえ、それが、かなわぬ思いあがりだとしても。
最後の、法廷のシーンが圧巻!少女の叫びを聞け。
本を読んで泣いたのは、子供の頃以来かな。
ぜひ、おすすめの一冊です。
DATA
「透明の国のアリス」著者:西街守(にしまちまもる) 情報センター出版局 1,500円+税
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